中国で大きな事件が起きた際に下される判決の一つに、「執行猶予付き死刑」という刑罰があります。
ただ、「死刑に執行猶予がつくってどういうこと?」と思う方も多いですよね。
今回は中国の執行猶予付き死刑とは、一体どんなものなのか、過去の事例と共にわかりやすく解説していきます。
中国の執行猶予付き死刑とは?
中国の執行猶予付き死刑とは一体何なのでしょうか?
こちら、
判決が下されてから執行猶予期間の2年間、良い行いをし、再犯しなければ、死刑が執行されることはなく、無期懲役に減刑される
という制度なのです。
執行猶予付き死刑は、
犯罪者が社会に戻るチャンスを持つことを意味している
とも言えます。
中国の執行猶予付き死刑の過去の事例
中国の執行猶予付き死刑、過去にはどんな事例があるのか調べてみました。
事例①:オーストラリア国籍の作家のスパイ容疑
中国の執行猶予付き死刑、過去の事例①つ目は、オーストラリア国籍の作家のスパイ容疑です。
- 中国の北京で、オーストラリア国籍を持つ作家ヤン・ヘンジュン(楊恒均)氏に対し、執行猶予付きの死刑判決
- ヤン氏は2019年に中国当局に拘束され、スパイ容疑で起訴されていた
何があった?
ヤン氏は元外交官であり、2002年にオーストラリア国籍を取得した後、作家として活動を開始。
ヤン氏は中国政府に批判的な立場を取っており、特に政治問題に関する著作やブログ
で知られていました。
2019年1月、ヤン氏が中国を訪問中に拘束され、その後、スパイ活動の疑いで起訴されたのです。
現状
この判決に対して、オーストラリア政府は強い反発を示していて、
アルバニージー首相は、中国の行動に「激怒」
ヤン氏の釈放に向けて引き続き努力する意向を表明しました。
また、オーストラリアの外務省も、ヤン氏の処遇に懸念を示し、中国側に対して透明性を求めています。
さらに
現在、ヤン氏の腎臓に異常が見つかっているにも関わらず、適切な医療を受けられていない
との報道もあります。
ヤン氏に健康状態の問題もあり、オーストラリア政府が早期の解放を求める理由の一つとなっています。
事例②:湖南省の車暴走事件
中国の執行猶予付き死刑、過去の事例②つ目は、湖南省の車暴走事件です。
- 2024年11月、湖南省の小学校前で発生した車暴走事件
- 39歳の男が車を使って無差別に児童らをはね、30人以上が負傷
- 特に小学生を狙った卑劣な事件として事件発生から1ヶ月で執行猶予付きの死刑判決
何があった?
中国湖南省常徳市の小学校前で発生した事件で、犯人の男は車を加速させ、通行中の児童や保護者に突っ込む形で暴走。
小学生18人を含む30人をはね、さらに車から降りて凶器を持って襲いかかる
という行為を行いました。
裁判所は、
犯行の動機として投資の失敗や家族との確執
を挙げ、公共の安全を脅かす行為であると判断し、死刑判決を言い渡しました。
まとめ
今回は中国の執行猶予付き死刑とは、一体どんなものなのか、過去の事例と共にわかりやすく解説しました。
事例を見てみると、中国の執行猶予つき死刑は、人の命に関わる凶悪犯罪から政治的犯罪にまで下される判決であることが分かりますね。